イラスト/鷲尾直広

ガデラーザは人革連+アルケー+イノベイド

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水島

鷲尾君には劇場版でもガデラーザを担当してもらっているんだけど、最初はかなり未来的なデザインだったね。

鷲尾

初期に描いたラフから、かなり変わりましたね。

水島

最初に方向性を決めてしまうとデザイナーの自由度が損なわれるし、本人のカラーが薄まってしまうので、初期ではあまり制約は設けないようにしているからね。まず1度ラフを見せてもらって、こちらで意見をまとめて鷲尾君に伝えたんだっけ。
基本的には元人革連のチームがメインになって、イノベイドの技術を積極的に取り込んだ機体であること。鷲尾君がデザインしているということで、その下敷きにスローネやアルケーの技術があると面白いよねっていうイメージ。他のモビルアーマーのイメージも盛り込む……っていう話もしたかな? ただ取り立てて形状とかニュアンスに、アルケーやスローネの方向性を盛り込むわけじゃないけど、そうすることによって鷲尾君らしさがうまく盛り込めるんじゃないかと思ったんだよね。

鷲尾

悩んでいるよりも、とりあえずはラフを書いて、どんな方向性かを探ったほうが早かったですね。描いては意見をもらうという感じで。

水島

人革連だから、寺さん(寺岡賢司氏)的なラインは意識した?

鷲尾

あまり意識しませんでした。ただ初期の段階から、徐々に人革連を意識した塊っぽいデザインにしていったぐらいですね。あとは曲線を使いすぎないとか、全体的にパーツ構成が洗練されすぎないように気をつけました。色に関しては、もうちょっと変な色にしたかったんですよね。

水島

いくつかカラーを出してもらったんだよね。基本的には、スローネ、アルケー、アヘッドといった機体から色味を調整して、どの勢力の後継機かわかるように色を決めていったんだよね。パイロットスーツもそれと同じ理由。新しい勢力に見えてしまっても困るし、初見の人にはちょっと悪っぽい雰囲気を与えたいと思ったんだよね。

鷲尾

本当は、羽の部分や後部のパーツを、一部クリアパーツにしようと考えていたんですよ。

水島

クリアは厳しいな(笑)。一部クリアパーツの表現は半透明処理でやっているんだけど、全体的には通常の塗り表現で対処しているんだ。半透明処理は手間とコストがかかるからね。出番も少なくあまり動いてなければ豪華に半透明処理でもいいんだけど、ガデラーザは激しく動くシーンもあるからね。
CGという方向性も考えたんだけど、やっぱり『00』は手描きのメカが売りだからね。あとは設定的にも未来的過ぎるという部分も含めて、今回は違う方向性にしてもらったんだ。
ああ、だけど3Dモデルも作製はしていて、大変なカットの作画のガイドとして使っていたりするんだよ。それとガデラーザが艦に係留されているシーンなどは、3Dをさらにディティールアップして使っているし。

実は300mを超える巨大モビルアーマー!?

鷲尾

思っていたほど、未来じゃなかったんですよね。

水島

だから2年後ですって(笑)。一応、デザイナーが投げてくれたアイディアは、単純に技術的に可能かどうかという部分と、表現がどう見えるかを検証するんだけど、鷲尾君のデザインには想像以上に未来的な要素が入っていたんだよね。
ちょうどデザインが上がってきたとき、SF設定の寺さんがスタジオに来たから、「どう思う?」って聞いたら「未来だねぇ」っていう意見だった(笑)。そこで、若干バランスをとってもらって、今の形に落ち着いたんだ。

鷲尾

今回はガンダムも2年後を意識されていますよね。

水島

ガンダムでもフレームを共用しているからあまり変わらない……っていうスタンスだったんだけど、物語上の要請もあるし、外観も変えていかないと商品力も弱くなるからね。最初はしつこく2年後っていうことを意識してもらったんだけど、あまりうるさくいってもしょうがないかなとも思ったんだ。ただフレームは共用で、なるべく近いものに見えるようには意識してもらって。同じフレームでも一部のパーツを延長した……という理由付けを前提に、脚を伸ばしたり、バランスが変わったりしてもいいっていう話はしたかな。あまり2年後にこだわってリテイクを増やすよりは、かっこいい方向を伸ばそうという方向に調整していったね。
ガデラーザも最初に苦労した部分はあったけど、結果としてとてもお得な機体になっているよね。見どころが多いから、ぜひ劇場で注目してほしいな。あとは商品が出るとうれしいんだけど(笑)。レグナントよりもだいぶ大きいけど、ロボット魂で出してくれないかな?

鷲尾

300mもありますからねぇ……。

水島

映像で見ると、そんなに大きくは感じられないかもね。単体で戦うシーンが多いから、逆に小さく見える面があるかもしれない。もともと設定面というよりは、絵面から大きさを考えているからね。

鷲尾

打ち合わせで、モビルスーツと対比してガデラーザはこれぐらい……っていうサイズのままで大きさを決めたら、300mを超えてしまいましたからね(笑)。

水島

まぁ戦艦とモビルスーツの対比だと思ってもらえるといいかもしれない。プトレマイオスが250mぐらいだから、サイズ的には近いよね。モビルアーマー1体で大部隊と対等に勝負できる、一騎当千の機体、ということを考えると、これぐらいの大きさっていうイメージなんだよね。ファング自体がモビルスーツ並の大きさと性能で。まぁ作っているうちに大きくなってしまったということで(笑)。ちゃんとした設定は、後付けで人革連の寺さんに考えてもらおう(笑)。

水島

次回で連載自体が一区切りということで、海老川君に描いてもらうみたいだね。鷲尾君的には、どんなイラストが見てみたい?

鷲尾

海老川さんは、僕が苦手なエフェクトが得意な方です。絵自体も楽しみですが、どんな効果を使われるのかも見たいですね。

水島

それはすごく凝ったイラストが見たいってことだね(笑)! 海老川君はモニターグラフィックでも有名だから、そのあたりも活かしてもらうとうれしいかな。最後ですから、盛りだくさんでお願いします!

文/河合宏之・写真/ドクトルF
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GNMA-Y0002V ガデラーザ

純粋種のイノベイター専用に開発された大型モビルアーマー。将来的に出現が予測される純粋種のイノベイターを戦力として活用するため、各種実験的な装備を搭載していることが特徴。そのため、これまでの兵器からは装備や性能も大きく異なっている。現在、連邦軍に在籍するイノベイターはデカルト・シャーマンのみであり、実質的に彼の専用機となっている。

GNMA-Y0002V ガデラーザ

■GNMA-Y0002V ガデラーザ

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