イラスト/福地 仁

スタッフ間でのキャッチボールが生んだメカシーンの高い評価

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福地

今回の対談では、印象的なメカシーンを描いた作画側の人たちのことを言っておきたいなと思っていたんです。作画の人たちが支えてくれたからこそ、作品の中でメカがより印象的に活躍できたというのを、監督と一緒に発言しておくべきだと。

水島

『ガンダム00』の作画スタッフは、非常にメカが好きで、メカを格好良く演出することに理解があって、こっちが「こう動かすんだ」という提示に対して、可能な限り応えようと頑張ってくれたことが大きいですよね。
我々の現場では、デザインしてもらったメカをアニメーションで動かす際に、アニメーターがアレンジを加えることに対してデザイナーは肯定的でしたから、アニメーターとの連携もよくて、アニメーターの描いたものに対して「さらにこういうアイデアはどうだろう?」ってデザイナーが追加提案するような、キャッチボールがきちんとできていたからいい結果が出たんだと思いますね。デザイナーも最初に僕らが出した要望をなるべく盛り込んでくれたし、こっちも可能な限りデザイナーの意志を真摯に取り込もうと思っていましたし。
そういう作業は、楽ではなかったけど、結果的にメカに関してはすごく評価される感じにつながりましたからね。本来、デザイナーを起用する理由は、デザインしてもらうためで、作画用の設定という側面よりも、メカデザインとして劇中での役割とそれを具現化する形状という「存在としての記号」を発注しているつもりなので。それをアニメーターの力で具現化し、さらに良いものにする。そのコンビネーションはすごく成功していると思いますね。もちろん、ギミックや機構に関しても、劇中で使うからこそ段取りも含めて描いてもらっているわけですから、そこは重要視したいですよ。

福地

結果的に表現としてこぼれてしまうところがあっても、拾う意志が現場にあって、拾ってもらえそうだという大前提が最初からあるからこそ、モチベーションを維持して頑張れるポイントにもなりますから。そうした現場の姿勢が、デザインにもいい影響を与えたと思います。

現場のスタッフが出す「より世界観を広げる」ためのヒント

福地

前回、柳瀬君がかつて僕がバンダイさんが出していた『模型情報』という冊子で連載していた企画のことを振ってくれましたが、自分的には今回の『G-ROOMS』で「20年ぶりにまたやっています」というところがありますね。

水島

海老川君、柳瀬君の描いた2回とは異なる、より戦場写真的なシチュエーションにはなっていますよね。

福地

確かに、そういう気持ちもありました。この企画自体、かつて出版された宇宙世紀の戦場写真集である『M.S. ERA』(メディアワークス刊)を意識して、似た形でやっていくというスタンスなんですが、今回はもうちょっと模型ジオラマ寄りにしてみたというのはありますね。

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水島

福地さんから、「こういう企画を考えているけど、なかなか実現できない」という話を聞いた時の印象から想像していたのは、戦場写真的なノリなんだろうと思っていたんです。でも、おそらくは、福地さんが『G-ROOMS』のような企画をやりたいと以前から言っているのを聞いていたから、前の二人は陸戦というシチュエーションは、あえてとっておいたんじゃないですかね。

福地

確かに、前回の柳瀬君の語り口には、「残しておきました」というニュアンスが感じられましたね。それに、二人は思い出深い1体を選んだというところもありますから。

水島

この企画自体、ユーザーがいろんな想像をする前に、現場の人間がまずやっちゃえというノリでやっていて、楽しむのが大事というところもあるので。

福地

最近のお客さんは、昔のファンよりも本編の公式映像の範囲内だけで遊ぶ人が増えてしまったので、もう少し外側で遊んでもいいんだよと念を押したいという思いもありますからね。そのヒントを現場の人間が見せるのも大事じゃないかな。

水島

それが面白いんだと思いますからね。想像を広げた結果がオフィシャルか否かでファン同士が揉めて欲しくないので、我々から出せるモノがあったら、可能な限り出しておきたいですから。これから劇場版もありますが、『00』の世界はそこで終わるわけではないので。まだまだ、描写していない物語や世界があって、そこに活きている人たちがいるわけですからね。


水島

次回は鷲尾(直広)君ということなんだけど、何を描くのかな?

福地

やっぱり、鷲尾君が描く、独特のフォルムをより味わえるものを期待したい感じですけどね。

水島

確かに、鷲尾君には独特のラインを期待してデザインを描いてもらっているので、それがどんなシチュエーションに落とし込まれるのかは楽しみですよね。ただ、キャラクターにはあんまり入れ込まずに、硬派にモビルスーツ押しを希望です(笑)。

文/石井 誠・写真/ドクトルF
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