イラスト/柳瀬敬之

デザイナーの思いがプラスに働いた画面演出

水島

僕は、そこに柳瀬君の遊びを感じ取ったんだよね。君はすごく真面目で、仕事もスケジュールどおりにキッチリと上げるし、判らないことがあればきちんと聞いてくる。逆に言うと、僕からすれば遊びが少ないのが不満というか、もったいないと思ったんだよね「もっと変なことをやって、変な形にしちゃいなよ」って言っても、うまくまとめてしまう部分があって。
それが、ガッデスに関しては主張が激しかったし、ガッデス自体が柳瀬君のためにあるような機体なので、これはこれですごくいいなと思いましたね。
いや、もうまさに“愛あればこそ”。でも、人間はそれくらいの方がいいんですよ。それくらい邪心があった方が。動機はどうあれ、ちゃんと仕事としてできていれば問題ないし、それが、20話の完成度に繋がっているわけだからね。

柳瀬

そういう流れがありますから、『G-ROOMS』の企画で何が描きたいかと言われたら、これを描くしかないですよ。

水島

ということで、やっとイラストについて(笑)。このシチュエーションは面白いよね。本編じゃ〈ガ・シリーズ〉が戦艦から出撃するシーンは描いていないから。

柳瀬

photo第20話の出撃前のシーンですね。海老川さんから「あのブースターはどうやって付けているの?」って聞かれたことがあって「多分、自動で付けているんじゃないですか」と答えたので、レーザーポインターで自動的に装着しているシーンとして描きました。連邦軍航宙巡洋艦も僕がデザインして、これも思い入れがあるものなので、こういう機会がないと描くこともないかと思って一緒に描いてみました。

水島

それにしても、今回はいろんなメカを描いたね。

柳瀬

20話の劇中で、巡洋艦に物資を搬送するシーンがあって、その時にアヘッドも飛んでいたので描いておこうと。
20話は、おかげさまでというわけじゃないですが、僕のメカばかりでしたからね。

水島

確かにそうだね。柳瀬デザインのモビルスーツ同士が互いに攻撃し合ってボロボロになっていくという。

柳瀬

すごくクオリティの高い回でしたよね。

水島

あのあたりは、後半に向けて密度が上がっていて、落としようがなかったからね。メカ作画で名を馳せた寺岡巌さんがひじょうにいいコンテを描いてくれたのが大きかったですよね。

柳瀬

ファングとビットの対決をやりたかったというのもあり、ソードファングという武器も使ってみたいというアイデアもあったので。そういう意味では、デザイナーからいろいろと提案できたのはすごく良かったですね。
いろいろありましたが、良い意味でプラスアルファになったと思いたいです。

水島

マイナスにはならないよ。それだけ、現場に心の余裕があるという言い方も変だけど、ギスギスした雰囲気ではなく、近い距離感で仕事ができているということを示すいいエピソードですよね。
いや〜、それにしても愛があふれてるよ(笑)。

柳瀬

モビルスーツ愛ってことにしておいてください(笑)。

水島

ということで、次は福地(仁)さんの番だけど、何を描くのかな? 

柳瀬

この企画に近いことを、昔バンダイさんが出していた冊子の『模型情報』でやられていた方で、僕や海老川さんは学生時代にそれをみてガンダム世界の奥深さを感じていたわけですから。

水島

ある意味、ガンダムというコンテンツにスタッフの中で一番長く関わって、見てきた人が、『00』ではガッチリと一緒に作品世界を作ってきたわけで、その人が描く『00』ならではのメカニック世界がどんな感じなのか、楽しみだよね。

柳瀬

福地さんが持っている、僕たちにまだ見せていない『00』の世界があるはずなので、それがどう出るのか、僕も期待しています。

文/石井 誠・写真/ドクトルF
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巡洋艦に物資を搬送するシーン

巡洋艦に物資を搬送するシーン

セカンドシーズン 第20話

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